K-BALLET TOKYO ご挨拶 Greeting

「完璧など存在しない」と人はいう。
しかし私にとってそれは失敗から目をそらしたり、夢をあきらめたりするための言い訳にすぎない。
作品を「完璧という領域」にまで達成させるには、ダンサーの心技体だけでなく、オーケストラや
スタッフ、観客、劇場を含むすべてが最高の次元で調和しなければならない。
それは奇跡のようなことかもしれない。
しかし「完璧という領域」はたしかに存在する。
偉大な芸術はすべてそこで脈打っている。
僕はつねにその領域を志向してバレエに関わってきた。

熊川哲也著「完璧という領域」より

「100年前も100年後でも感動できる舞台を——」

時代を超えて生き続ける伝統的な技法を用いつつ、誰も見たことのない異次元の世界へと誘うということが私の芸術家としての使命です。

26歳の時、経営とは何かも分からなかった私が、公共の支援を得ずに1人で立ち上げ率いてきたこのK-BALLETが、現在の形にまで成長を遂げるとは、当時は想像だにしていませんでした。
それから四半世紀、大規模な公演活動を展開する日本唯一の株式会社によるバレエ団運営、オリジナル作品を軸としたレパートリー構成、株式会社TBSホールディングスや株式会社東急文化村との恒常的な提携関係、そしてなにより250万人を超える観客の皆様のご支持により、現在の堅固で安定的な環境を醸成し得たことには、深い感謝の念と誇りを抱いております。

次なる章は、K-BALLET TOKYOという新たな名称で幕を開けます。

日本が誇れる西洋芸術の発信地として、東京からバレエを発信していくことへの責務と誇りを込めたこの名前が、過去と未来をつなぐ普遍的な価値を継承し、バレエ史に誇れる新たな歴史を生み出すことを願って——。

K-BALLET TOKYOの歩み

1998年、英国ロイヤル・バレエ団在籍10年目を迎えた熊川哲也は、東洋人として初のプリンシパルにまで登り詰めたその快挙と栄光の座に安居せず、同団を退団。自身の理想とするバレエ・舞台芸術を追うべく、翌99年にKバレエ カンパニーを設立しました。2002年9月には、東京都文京区にカンパニーの拠点となるスタジオを構え、これを機に、古典全幕作品を中心とした、正統派クラシック・バレエ団として本格的に活動を開始。古くは17、18世紀に確立された歴史あるヨーロッパの総合芸術であるバレエを、正しいスタイルで継承するという理念のもと、熊川自身が古典に対して抱いてきた思いを盛り込んだプロダクションを「熊川版」として次々と発表してまいりました。

年間50公演以上10万人以上の集客を記録するなど、民間団体としての経営的自立、所属ダンサーの処遇改善といったプロフェッショナルバレエ団として本来あるべき姿を提示し、その活動は、日本のバレエ界に一石を投じるものとなりました。
変革はバレエ教育や舞台音楽分野にも及びます。2005年には総合芸術の発展を見据えて、“劇場”を主な活動の場とするオーケストラ「シアター オーケストラ トウキョウ」を立ち上げ、日本で唯一、自身の傘下にオーケストラを有するバレエ団ともなりました。

そして、近年特筆すべき活動は、熊川による新作発表です。台本から手がけた完全オリジナルバレエである『クレオパトラ』や『カルミナ・ブラーナ』『クラリモンド〜死霊の恋〜』全編、オペラのバレエ化に成功した『蝶々夫人』『カルメン』といったオリジナル全幕バレエ作品のコンスタントな発表は、世界的にも類を見ない規模とスピードでの創作活動であり、高い注目を集めています。2014年からはローザンヌ国際バレエコンクールの日本初のオフィシャルパートナーカンパニーとなるなど、そのクオリティは世界的にも評価を得ており、アジアのトップカンパニーの一つと評価されています。

また、K-BALLETは、創立当時より「最高の感動を多くの方へ」という熊川の理念に基づき、民間企業との連携によって、より広く大きなバレエ市場を生み出すことに注力してきました。2012年からは熊川哲也がBunkamuraオーチャードホールの初代芸術監督に就任、2018年11月にはKバレエ カンパニーが株式会社東急文化村とフランチャイズ契約を締結し、ホームとなる劇場を拠点に継続的な公演活動を実現しているほか、2022年7月には株式会社TBSホールディングスと資本提携を締結。事業拡大にさらなるスピードをもつことを可能にいたしました。
2023年9月からは、名称をK-BALLET TOKYOに。グローバルシティ東京において、外国の方が日本にバレエを観にくるような新たな文化交流を担う団体としても、その活動を広げていきたいと思っております。

  
K-BALLET TOKYOはローザンヌ国際バレエコンクールの公式パートナーカンパニーです